遺言書が複数あった場合、基本的には被相続人が最後に作成した物(一番新しい)が優先されます、では公正証書遺言があった場合はどうでしょう?公正証書遺言があった場合でも作成日が新しい自筆遺言が優先されます。これはあくまで自筆遺言が正しく作成されており、法的に有効と見なされることが前提です。しかし、複数出てきた遺言の内容がそれぞれ違ってきた場合は問題です、遺留分減殺請求をするのにも予想外の結果になることがあります。

 

千葉県に住む吉田さんのケース

吉田さんのお父様は10年前に亡くなりました、その際、相続人は母、長男、長女、次男、本人の5人で、話し合いで解決がつきそうでしたが、急に長女が態度を変え調停の申し立てをしてきました。

しかし、相続財産が確定できず取下げとなり、その後すぐに母が亡くなりました。

約1年後、今度は長男が作成した遺産分割協議書が送られて来て署名するようにとのことでしたが、納得できるような内容ではないので、今度は吉田さんが調停の申し立てをしました。 そうすると、今度は母作成の公正証書遺言が出てきたというのです、内容は一部不動産を長男と長女に相続させるとの内容でしたので、その部分については遺留分減殺請求の申し立てをしました。

父の不動産が全て母に相続されているかのような内容だったので、遺留分の請求については、母の分は1/2でそれ以外は兄弟が1/4ずつの割合になりさらに貸している駐車場の賃料も争いになり不調になってしまいました。

また、先に申し立てた調停も裁判で決めてくるようにと取下げする事になりました。

数ヵ月後、今度は、母の自筆の遺言が見つかったと長男が検認の申請をした事により家庭裁判所から呼び出しがありました、確認しに行くと、作成日は公正証書遺言よりも前だったので気にしていなかったのですが、その後、自筆遺言が有効であるとの訴訟を長男が起こしてきたのです。

何度も期日が開かれましたが結果的に、自筆遺言は相続財産全てという表記になっており、公正証書遺言は一部の不動産を限定していることで両方とも有効との判決が出たのです。これはこれでしょうがないので、自筆遺言の相続分に対する遺留分減殺請求の意思表示をしたのですが、検認から1年以上たっているので時効になるというのです。

判決が出て初めて遺言が有効になったので、有効になった日から1年が時効の期日との認識をしていたため訴訟をして争ったのですが認められず、結局最初の公正証書遺言の分の請求しか認められない結果となってしまいました。

長期間争った結果、当事者となっていた長男、長女は亡くなりその子供たちが相続をいける結果になり、何の為に争っていたのかも解らないような結果になりました。

被相続人の意思を尊重するための遺言も複数存在したり、相続人間の争いによって本来の結果と違ってしまう事もあります。