不当利得返還請求とは、正当な理由なく他人の利益を不正に得た場合、その不正に取得した利益を返還するよう求める法的請求です。相続の場面では、相続すべき預金を勝手に使い込んでしまった場合や、遺産の現金を持ち出して返さなかった場合などに、不当利得返還請求を行うことができます。
ただし、この不当利得返還請求には時効が設けられており、時効が成立する前に請求を行う必要があります。つまり、不当利得を得た側に返還義務が発生する前に、適切な時期に請求を行う必要がある、ということです。
遺産を不正に使い込まれた方への提案
遺産の一部を不当に取り上げられた場合、不当利得返還請求を行うことで、その不正に得られた利益を取り返すことができます。しかし、こうした法的手続きの流れややり方がわからず、途方に暮れている方も多いかもしれません。
そのような方に向けて、当センターに無料相談することをおすすめします。まずは無料相談を利用して、状況を説明してみましょう。相談することで、以下のような効果が期待できます。
- 不当利得返還請求の具体的な手続きやプロセスが理解できる
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遺産を不正に奪い取られた被害者の方は、ぜひ、当センターに相談してみることをおすすめします。適切な支援を受けることで、正当な権利を取り戻せる可能性が高まるはずです。
不当利得とは、正当な法的根拠がないにもかかわらず、本来得られるはずのない利益を得てしまうことをいいます。例えば、店舗での購入品に不具合があり適切な返品・交換ができなかった場合など、成立した契約が無効や取り消しとされることで、不当に利益を得てしまうようなケースがこれに当たります。
このように、他者が不当に利益を得た場合、本来その利益を得られるはずだった人が不当利得返還請求を行うことができます。しかし、「相続財産を勝手に使い込んでしまった」といった場合では、相続人による不当利得の立証が難しく、請求できないことも多いのが実情です。
つまり、不当利得に該当するかどうかは状況によって判断が難しく、適切な証拠の収集や法的手続きを踏む必要があります。不当利得の返還を求める際は、専門家に相談しながら慎重に対応することが重要となってきます。
不当利得返還請求の法的根拠は、民法703条に規定されています。同条では、「法律上の原因なく他人の財産や労務により利益を得、それにより他人に損失を与えた者は、その利益の限度でこれを返還する義務を負う」と定められています。
不当利得返還請求の成立要件としては、以下の4点が必要とされます。
- 財産の使い込みにより利益が生じていること(受益)
- 受益とは、その事実がなければ予想される財産総額より現実の財産総額が増加していることをいいます。
- 例:相続人が被相続人の財産を無断で使い込んだ場合、自身の財産を減らすことなく利益を得たことが受益にあたります。
- 財産の使い込みにより損失が発生していること(損失)
- 不当利得は、得と損の均衡を図る制度なので、誰かが法的根拠なく「得」をした一方で、対峙する「損」が発生していることが必要です。
- 受益と損失の間に因果関係があること
- 両者の直接的な因果関係が求められていますが、最近は総合的に判断する傾向にあります。
- 財産の使い込みに法律上の原因がないこと
- 法的根拠がないとは、当事者間で正当化できる実質的・相対的理由がないことをいいます。
- 例:無効となった売買契約で返金されない場合などが該当します。
不当利得返還請求権は通常の債権と同様に時効の対象となります(民法167条2項)。時効の起算点は権利が発生した時点となります。
不当利得返還請求権の時効には主に2つのパターンがあります:
- 権利の発生を知った時から5年
- 権利が発生した時から10年
遺産分割自体には期限がないものの、長期間手続を進めないままでいると、不当利得が発覚した際に請求権が時効により消滅してしまうリスクがあります。
したがって、不当利得返還請求権の消滅を防ぐためには、早期に対応することが重要です。遅延すれば、時間経過によって権利が失われる可能性があるためです。
このように、不当利得返還請求権には一定の時効期間が設けられており、権利行使の機会を逸することなく、適切なタイミングで対応する必要があるといえます。
原則として、不当利得返還請求の範囲は、現在残っている利益に限定されます。つまり、不当利得の全額が既に使い尽くされている場合、残存する部分のみが返還の対象となります。
ただし、相手方が悪意(不当利得であることを知りながら行為した)であることが立証できれば、利息を付けて全額の返還を請求できます。悪意の立証ができれば、使い込まれた分も含めた全額の返還を求めることができるのです。
一方で、不当利得の対象物が第三者に譲渡や消費されてしまい、現物返還ができない場合は、その時点での客観的な相当価額の賠償請求になります。このような場合、請求額の算定が難しくなります。
また、時効期間である10年を経過した古い不当利得については、他の請求方法(損害賠償等)を検討せざるを得なくなります。時効によりもはや不当利得返還請求ができなくなるためです。
つまり、不当利得返還請求には一定の制限があり、具体的な事案に応じて適切な請求方法を選択する必要があるということがわかります。
まず、時効期間が異なります。不当利得返還請求は「返還請求権が発生した時から10年」ですが、不法行為に基づく損害賠償請求は「行為を知った時から3年」と短期間です。
また、要件や効果にも違いがあります。例えば、不当利得返還請求では「現存利益の返還」が求められますが、損害賠償請求では「被った損害の賠償」が求められます。
このように、両者には法的な差異があるため、具体的な事案に応じて適切な請求方法を選択する必要があります。
特に、時効期間の差異は重要です。不当利得の発覚が遅れた場合など、請求権が消滅している可能性があるため、損害賠償請求に切り替える必要が生じることがあります。
つまり、不当利得の返還と損害賠償では、時効期間をはじめ要件や効果が異なるため、状況に応じて使い分けることが重要だといえます。
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